即日発表 - 2025年02月11日

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JANM

歴史、民主主義、公民権の擁護に関する 全米日系人博物館理事会による声明


注記:JANMの展示施設は改修のため休館しています。JANMのそのほかの施設や館外の会場でプログラムは継続して参ります。詳細はjanm.org/OnTheGoをご覧ください。

全米日系人博物館(JANM)は、公民権と民主主義を擁護し、第二次世界大戦中に日系アメリカ人が経験した不当な扱いが他のいかなるグループに対しても二度と繰り返されることがないようにと、日系アメリカ人コミュニティーによって設立されました。当館は、記憶、真実、正義の場として存在しており、ここでは歴史はただ保存されるだけではなく、民主主義と人間の尊厳に対する現代の脅威に立ち向かうため積極的に活用されています。米国籍の出生地主義に対する攻撃、社会的に不利な立場に置かれているコミュニティーに対する職場における安全保障の取り消し、強制収容や国外追放を含む移民保護政策の縮小、敵性外国人法に基づいた行動の復活、多様性やその他のイニシアチブの組織的な解体などに見られる公民権の破壊を深く憂慮しています。こうした政策が人間性や尊厳を奪おうとし、より公正で公平な未来に向かって歩んできた私たちの国の歩みを逆行させようとしているのを前にして、沈黙を続けるわけにはいきません。

歴史、家族、ミッションを尊重します

JANMは、今まさに看過の危機に瀕している、家族や祖先そして歴史の苦闘から学んだ教訓を尊重し守っていくために設立されました。第二次世界大戦中の日系アメリカ人の強制収容につながった人種差別、外国人嫌悪、権威主義といった動きが、今、国家の安全保障、移民の取り締まり、多様性・公平性・包括性の否定といった皮をかぶって再び現れてきています。私たちは、この歴史を保存していく当館のミッション、コミュニティーや隔たりを越えてつながりを築き、アメリカという国があらゆる人々が健やかに生き繁栄していける国であり続けることを確かにするために、たゆまず力を注いでいきます。

語られることのなかった歴史を伝える場所として、当館は多様な声や見解を尊重しています。なぜなら、それらは大切なものなのです。たとえ現政権がそれらを消し去ろうとしても、当館は、追憶の日、黒人歴史月間、ヒスパニック・ヘリテージ月間、アジア系・太平洋諸島系アメリカ人ヘリテージ月間、ホロコースト犠牲者を想起する日、プライド月間、そしてアメリカ中のコミュニティーの貢献や苦闘、そして長い闘いを経て勝ち取ってきた、女性や歴史的に疎外されてきたコミュニティー、LGBTQ+の人々、障がい者に対する保障を認識するその他の重要な記念日を祝い続けていきます。

また日系アメリカ人コミュニティーが一枚岩ではないことも認識しています。日系アメリカ人は多様な人種、文化、世代にわたっており、ジェンダー、セクシュアリティー、宗教、才能の面でもさまざまなアイデンティティーを持っています。私たちはどのような形の差別に対しても立ち向かい続けます。JANMは、すべての人々が自分らしくいられる避難所となり安全な空間であり続けることを約束します。

強制収容と国外追放に反対します

2025年1月29日付の大統領覚書で、グァンタナモ湾に3万人の移民を収容できる移民強制収容所の建設が指示されたことについて、JANMは強く抗議します。国家の安全保障を理由に大規模な強制収容を正当化する主張は、大統領令9066号により12万5000人以上の日系アメリカ人(私たちの親や祖父母、そして親戚)が強制立ち退きと強制収容を余儀なくされたのと同じ論理を繰り返すものです。家族が引き裂かれ、生活が破壊され、何世代にもわたってコミュニティーはトラウマに苦しんできました。そのような行動がもたらす壊滅的な結果を私たちは身をもって理解しています。

適正な法の手続きを経ずに大規模な国外追放を実施するため、1798年の敵性外国人法を使うという方針に疑義を呈します。この方針は歴史的に、疎外されたコミュニティーを標的にするために使用されてきました。戦時中の敵国人を国外追放するために制定されたこの法律は、1941年にルーズベルト大統領によって、適正な法の手続きを経ずに日本人、ドイツ人、イタリア人を逮捕・拘留するために使用されました。その後、大統領令9066号が発令され、日系アメリカ人12万5000人以上が強制収容所に送られました。そのうち3分の2以上はアメリカ生まれの米国市民でした。この新たな方針は極めて危険であり、中国人排斥法、外国人土地法、第二次世界大戦中の強制収容政策など、過去の不当な政策と共鳴しており、歴史の教訓を無視してはならないことを強調するものです。

米国籍の出生地主義を擁護します

JANMは、合衆国憲法修正第14条によって保障された基本的人権である米国籍の出生地主義を廃止するという憲法に反した大統領令に抗議します。日系アメリカ人は、何が危機に晒されているかを理解しています。私たちの祖先の多くが人種差別的な法律によって市民権を否定されました。二世は、両親の法的権利を剥奪し、財産を奪った国に生まれたのです。このような不当な扱いにもかかわらず、多くの二世は、家族がアメリカの強制収容所の中に収容されている間も、勇気をふるって米軍に志願し、米国外の戦場で自由のために戦いました。今日、法的地位を再定義しようとする試みは、1942年当時と同様にもろく危険なものです。私たちは危機にさらされている全ての移民の家族やコミュニティーと共にあり、全ての人が社会の完全な一員としての権利が認められるために、今後も闘い続けていきます。

民主主義と法の支配を守ります

JANMは、連邦政府の資金を凍結するという政権の試みに抗議する全米の非営利団体の一員です。これは連邦議会の権限と議会押収管理法に反する行為です。多くの差し迫った問題が、当館のミッションに限らず、私たちのコミュニティーに影響を及ぼしていることを私たちは認識しています。ダニエル・K・イノウエ民主主義保存全米センター(デモクラシーセンター)を設立した理由はそこにあります。デモクラシーセンターは、市民の対話の場であり、あらゆる背景や見解を持つ人々が、チェック&バランス、憲法、法の支配など、アメリカの民主主義の原則について議論し、それらを守ることができる場です。

行動へのコミットメント

JANMは、歴史を保存するだけでなく、その教訓を未来に伝えていきます。私たちは公民権を損ない人間性を否定し、正義や公平さそして包括性に向けての数十年にわたる進歩をくつがえそうとする政策に対して、警戒を怠らず声を上げ続けていきます。私たちの物語を語り、歴史の真実を守り、コミュニティーや隔たりを越える架け橋となり、差別やヘイトに立ち向かい、日系アメリカ人が直面したような不正が二度とどのようなコミュニティーにも起こらないようにするという、当館の設立当初の目的を再確認します。それによって、私たちは過去を大切にし、今日、そして未来に向けての責任を果たしていきます。

JANM 理事会

2025年2月

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全米日系人博物館(JANM)について

1985 年の設立より、JANM は日系アメリカ人の経験を共有することによって、アメリカの民族的・文化的多様性への理解と認識を促進してきました。ロサンゼルスのダウンタウンの歴史あるリトルトーキョー地区に位置する JANM は、第二次世界大戦中の日系人の強制収容の苦難から得た教訓が忘れられることのないよう、公民権の擁護を目的とする中心的な存在であり続けています。スミソニアン協会の加盟館であり、「アメリカの文化財」にも選ばれているJANMは、伝統的な博物館の枠を超えたハイブリッドな施設として、歴史の中心であると同時に、芸術の中心でもあります。日系アメリカ人の声を伝えるとともに、全ての人々が自らが受け継ぐ価値や文化を探求できる場を提供しています。1992年の一般公開以来、JANM 館内では 100を超える 展覧会を開催するとともに、 40 の展覧会をスミソニアン博物館やエリス島博物館などの全米各地、ならびに日本や南米の主要な博物館に巡回させました。JANMの展示施設は2026年後半まで休館中ですが、その他のJANMの施設や各地でプログラムを実施しています(janm.org/OnTheGo)。JANMの最新の情報は、janm.org をご覧いただくか、ソーシャルメディア@jamuseum でフォローしてください。